【コラム】現代アート投資、現代アートせどり?のススメ(2022/10/15)

2022年5月18日、株式会社ZOZOの創業者前澤友作さんが所蔵するジャン=ミシェル・バスキアの大作が約109億円で落札されました。こちらの作品は前澤さんが2016年5月に当時のレートで約62億円で落札したものです。単純計算すると、6年で47億円の利益を上げたことになります。

前澤さんはおそらく「投資」というよりは単純に本作品が好きになり、自分のモノにしたいと思ったからこそ、大金を使って、落札したのでしょう。しかし、その後、世界的な現代アート作品の価格上昇に伴い、意図せず、膨大な利益を上げることとなりました。

これは極端な成功例ですが、現代アート作品は好きで購入したモノが購入した時より、高く売れることが多々あります。購入価格は数千円、数万円のものからありますし、それが将来的に何倍、何十倍もの価格で取引されることが珍しくありません(※)。そうして現代アート作品の売買で利益が上がることを本記事では「現代アート投資」や「現代アートせどり」と呼ぶことにしましょう。

※国内のアーティストでもKYNEさんの作品は売り出し価格の50倍程度で取引されることも。例:『Consider Others(2020) 』は売り出し価格40,000円に対し、2021年5月には1,980,000円で落札されています(ヤフオク!)。

目次

「現代アート投資」「現代アートせどり」のメリット

それでは「現代アート投資」「現代アートせどり」の最大のメリットはなんでしょうか。一言で言うと、「作品は所有期間中、所有者が楽しむことができる」と言うことです。また最悪売れなくとも自分の好きな作品であればずっと所有していれば良いと言うところがあります。また株式投資との比較で言うと、株式投資は企業が万一倒産してしまうと株式は無価値になってしまいますが、アート作品はそのようなことはありません。株式と違いアート作品そのものに価値があるからです。

「現代アート投資」「現代アートせどり」のリスク

ただし、「現代アート投資」「現代アートせどり」にもリスクはあります。最大のリスクは「売りたい時に売りたい価格で売れない」ことです。例えば、あなたが100万円で購入した絵を所有していたとしましょう。購入から数年後、その絵の価格は上昇し、同様の絵は150万円で取引されているようです。ある日どうしてもまとまったお金が必要になり、それを売りに出してもすぐに150万円で売れるとは限りません。当たり前のことですが、150万円で買いたいと言う人が現れない限りその絵は売れません。売りに出したその日に購入者が現れるかもしれませんし、それは3ヶ月後になるかもしれません。その作品のアーティストの人気や、作品の人気度により、売れるタイミングも変わってきます。結局150万円では売れず、価格を下げて売る、早く売りたければ最悪購入価格の100万円以下の価格で売ることになる場合もありえるでしょう。また、別のリスクとしては破損リスクがあります。これは想像がつきやすいですが、作品が保有中に意図せず破損してしまうリスクのことです。万が一そうなってしまうと、当然ながら高値で売ることは難しくなってしまいます。

「現代アート投資」「現代アートせどり」に適した作品の条件

このようなメリット、リスクを理解した上で、どのような作品が「現代アート投資」「現代アートせどり」に向いているでしょうか。

1:自分が好きな作品

  前述のように「現代アート投資」「現代アートせどり」の最大のメリットを活かすためには、「ずっと所有し続けても良い」とご自身が思う作品が望ましいです。そうした場合、売りに出した場合も、高めの価格を提示しつつ、ゆっくり購入者を待つことができます。

2:人気があるアーティストの作品

  人気があるアーティストの作品は価格上昇しやすい傾向にあります。日本の現代アートで言うと、草間彌生さん、村上隆さん、奈良美智さんの作品やグッズは人気に裏付けられた需要があり、作品・グッズも様々なものがあります。またここ数年ではKYNEさんやBacksideworks.さんの作品に対する人気は凄まじいものがあります。

3:買える場所が限られている(限られていた)作品

  特定のギャラリーやミュージアムショップ等、作品やグッズを購入できる場所が限られていたものは購入者も少なく、レアな作品として価格が上昇する可能性が高いです。

4:作品数が限られている作品

  1点もののドローイングはもちろん、版画などのエディション作品でも「限定100枚」など、シリアルNo.が付与される作品は価格が上昇しやすい傾向にあります。販売された数が少なければ、市場に出てくる数も少ないので当然といえば当然です。

具体的にどんな作品が良いのかまた次回以降紹介していきたいと思います。

まとめ

・購入価格数千円、数万円の現代アート作品が、何倍、何十倍の高値で売れ利益が上がることを「現代アート投資」や「現代アートせどり」と呼ぶ。

・「現代アート投資」「現代アートせどり」の最大のメリットは「作品は所有期間中、所有者が楽しむことができる」こと。

・「現代アート投資」「現代アートせどり」の最大のリスクは「売りたい時に売りたい価格で売れない」こと。

・「現代アート投資」「現代アートせどり」に適した作品の条件は以下のとおり。

1:自分が好きな作品

2:人気があるアーティストの作品

3:買える場所が限られている(限られていた)作品

4:作品数が限られている作品

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この記事を書いた人

日本の現代アートを中心に作品売買の
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