ティーカップ・メリーゴーラウンド:ヨーロッパ陶磁にみるモダンデザイン100年

三井記念美術館で堪能する、貴族の嗜みから日常の芸術への変遷

三井記念美術館で開催される「ティーカップ・メリーゴーラウンド」展は、18世紀中頃から20世紀中頃までのヨーロッパ陶磁器のデザイン史を、お茶の時間を彩る「ティーカップ」という身近な器を通じて紐解く画期的な展覧会です。本展は、世界屈指の質を誇る岐阜県現代陶芸美術館のコレクションを中心に、マイセン、セーヴル、ウェッジウッドといった名門窯の傑作が一堂に会します。

貴族の富の象徴から、市民のモダンデザインへ

18世紀、ヨーロッパにとって東洋からもたらされた磁器は「白い金」と呼ばれるほど貴重なものでした。当初、王侯貴族の権威を示すために作られたティーウェアは、ロココ様式の華美な装飾が施されていました。しかし、産業革命を経て19世紀に入ると、アール・ヌーヴォーの曲線美を取り入れたデザインや、さらに20世紀にはバウハウスに代表される「機能性」を追求したモダンデザインへと劇的に変化を遂げます。本展では、この100年の間に起きた美意識の変化を、メリーゴーラウンドのように巡りながら鑑賞できる構成となっています。

見どころ:名門窯の技術と「用の美」

特に注目すべきは、フランスのセーヴル磁器製作所による繊細な色彩と金彩の技術です。王妃マリー・アントワネットも愛したといわれるその優雅なフォルムは、現代のプロダクトデザインの源流とも言える完成度を誇っています。一方で、イギリスのウェッジウッドが確立した実用的かつ量産可能なデザインは、デザインが特権階級のものである時代を終わらせ、一般市民の生活を豊かにした「デザインの民主化」の歴史そのものです。単なる美術品としてだけでなく、当時のライフスタイルや喫茶文化の変遷についても詳しく紹介されており、アンティークファンのみならず、デザインを学ぶ学生やプロフェッショナルにとっても深い洞察を与える内容となっています。

日本橋・三井記念美術館で過ごす優雅なひととき

会場となる三井記念美術館は、重要文化財である三井本館の中に位置し、重厚な建築意匠も魅力の一つです。日本橋という歴史ある場所で、ヨーロッパの優雅な陶磁器を鑑賞した後は、近隣の千疋屋総本店や老舗の喫茶店でアフタヌーンティーを楽しむのも、本展に合わせた最高の贅沢と言えるでしょう。

開催概要

会場: 三井記念美術館(東京・日本橋)

会期: 2026年4月18日 〜 6月21日

休館日: 月曜日

観覧料: 一般 1,500円 / 大学・高校生 1,000円 / 中学生以下無料

公式サイト: https://www.mitsui-museum.jp/

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